@phdthesis{oai:kitakyu.repo.nii.ac.jp:00000252, author = {吉村, 英俊}, month = {2012-10-20}, note = {グローバル化と地方分権化が同時に進展する中にあって、地域経済が今後とも持続的に発展していくためには、地域特性を踏まえ、かつ地域資源を活かした内発的発展が必要であり、とくに産業経済の分野においては、地域イノベーションを促進することが望まれる。それでは、どのようにしたら地域イノベーションが促進されるのか。これまで各地域で展開されてきた産業支援機関の整備や支援制度の充実はほぼやり尽くされた感がり、今一度原点に戻って、その構造解明を図り、方策を講じる必要があるのではなかろうか。また、北部九州地域には拠点となる都市が散在し、それぞれが県域等の中心になって地域の発展をリードしている。それでは、これらの都市が特徴を活かして連携し、北部九州地域として総合力を発揮することができるならば、地域が有する潜在力を顕在化し、国内においては第4の経済圏として、また海外においても、とくに環黄海経済圏においてリーダーシップを発揮することができるのではなかろうか。第一章では、地域産業・科学技術政策の変遷を整理することにより、地域がこれから講ずべき方向性が、地域特性を踏まえ、かつ地域資源を活かした内発的発展であることを確認した。また、地域産業・科学技術政策の事例として、北九州市の産業再生に向けた20年間に亘る取り組みを紹介した。第二章では、九州地域のイノベーションの現状を、産業経済、産学連携とベンチャー、各県及び政令指定都市のイノベーション政策の視点から把握した。その結果、九州地域は商工業はもとより、農林水産業や観光などにおいても盛況であり、さらに成長著しい東アジアに近いなど、高い成長の可能性(潜在力)を秘めていること、また、当地域は産学連携やベンチャーにおいても、国及び地方自治体、大学等の努力により、関東・近畿・中部に次ぐ活気ある状況にあることが分かった。第三章では、まず、第一・二章の検討を踏まえ、本研究の問題意識として、地域イノベーションを促進させるためには、その構造を解明すること、また、地域として総合力を発揮することが必要であることを言及した。次に、既往研究のレビューを産業クラスター、都市の住みよさ、創造都市の視点から行い、その結果、直接的要素だけでなく間接的要素からも検討すること、定量的なアプローチを採用すること、都市単体の検討に止まらず広域で地域を捉えることなどの示唆を得た。第四章では、北部九州地域の拠点都市とクラスター先進都市を対象に、直接的要素と間接的要素について指標化し、まず、地域イノベーションの構成要素を主成分分析によって明らかにし、次に、地域イノベーションに影響を与える要因を重回帰分析によって算出した。その結果、地域イノベーションの構成要素は、「都市機能の集積度」「工業の集積度」「地元自治体の積極性」「インフラの整備水準」「生活の安全・安心・快適度」「都市の魅力度・多様性」の6つに集約され、要因は第一位が「都市の魅力度・多様性(都市機能の集積度)」、第二位が「工業の集積度」であることが分かった。第五・六章では、第四章で明らかになった地域イノベーションの構成要素について、「企業」及び「人」の視点から考察を行った。まず、第五章では、イノベーションの主体である「企業」の視点から、企業が新規事業をはじめるとき、都市に対して、どのような機能や特性を期待するのか、また、どのようなタイプの都市を選択するのか、AHP(Analytic Hierarchy Process)を用いて調査分析を行った。その結果、「企業集積」や「研究基盤」「行政支援」といった直接的機能を、「都市基盤」や「都市の多様性」といった間接的機能よりも重視すること、ただし、その志向程度は業種によって差異があることが分かった。次に、第六章では、イノベーションを担う「人」の視点から、住みたくなる都市とは、どのような機能や特性を有した都市なのか、コンジョイント分析を用いて調査分析を行った。また、働き方とライフスタイルについて、数量化Ⅲ類を用いて調査分析を行い、さらに、住みたくなる都市として評価の高いオーストラリアのメルボルン、アデレードを視察した。その結果、「安全・安心・住宅」や「教育」「行政支援」といった堅実に生活が営める機能・特性を、「都市の活気」や「魅力ある企業集積」「娯楽」といった活動的な特性よりも重視することが分かった。以上の結果より、企業は、そのタイプによって志向が多少異なるものの、総じて「工業集積を有した大都市」であることを期待する。しかし一方、イノベーションを担う人は、安全や安心、豊かな教育環境を志向するなど、都市の活気とは裏腹に「堅実に生活できる環境」を期待としており、都市には「動と静」の二つの側面(二面性)が必要であることが分かった。第七章では、都市間連携について検討を行った。まず、第四~六章の調査分析結果を総括した上で、3つの都市グループについて、都市政策の方向性を示唆し、その結果、都市単体での充実強化の限界と、都市間連携(補完)の必要性について言及した。次に、連携と差別化の視点から地域形成の考え方を提案し、連携の事例として、自動車関連産業を紹介した。最後に、第八章において、北部九州地域としての総合力形成について、当地域が東海地方や環黄海地域と比較において、孫色のない十分な規模とバランスを有していること、そして、そのためには、福岡市と北九州市が連携し、核を形成しなければならないことを言及した。また、実現に向けた推進のあり方を、昨今の道州制の議論を踏まえて示唆した。}, school = {北九州市立大学}, title = {北部九州地域の拠点都市における地域イノベーションと都市間連携に関する研究}, year = {} }